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序文


 それでも僕は心地よくありたいと思う
 移ろい行くこの世界の中で
 早い流れは僕を置いていき
 例え大切なものを失ったとしても
 何を失ったのかすらわからない現実
 そしていつかそれに気付いたときには
 そう、とっくの昔に手遅れだ
 大切なものは数多くあれど
 その視界に留めておけるはごく少数
 視界にあるものすら護りきれる保証はない
 でもそれじゃダメだ
 目の前にあるもの
 せめて視界の中にある
 これだけは、と譲れないものくらい
 何とか護りたい
 護りきりたい
 そのためには何を失おうと構うものか
 譲れないものを護るため
 大切なもの全てを護ることができないなら
 大切なものを限定してしまえ
 そうして護りきることができれば
 そうすることでしか護りきることができないなら
 それでいい
 十分だ
 自分にとって特別な一つを護りきることさえできればそれでいい
 それで僕は十分心地よい
 たった一つの大切なものを誇れるよう
 例え、多くを失おうが
 例え、身を引き裂かれるように嗚咽を漏らすことになろうが
 例え、そのために大切な物を失おうとも
 それでも僕は心地よくありたいと思う









魔剣伝承 第一部
〜月下舞踏す運命の傀儡〜

第一幕 魔餓憑緋 Bloody Crimson Blade






































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